2005/11/09 ちょっとの差

ナビスコカップを手にしました。
土曜日は国立競技場が黄色に染まりました。観客は4万5千人、去年のレアルマドリッド戦は5万人以上入りましたが、黄色はまばらで、ホームゲームの雰囲気はありませんでした。この日は、ビッグフラッグも久し振りに広げられ、黄色いレプリカのサポーター、黄色のボード、黄色いテープ、そして、表彰式終了後はスタンドから降りてくる選手に黄色の紙ふぶきが降りかかりました。

これまでタイトルを目指す試合を何試合か経験していますが、いずれも力を出し切れず、無様な敗戦続きでした。この試合も慎重なゲーム運びで、普段のリスクを犯してでも攻め上がるという姿が見られませんでした。ガンバもチーム状態が下降気味で、自慢の前3人がタイトにマークされると、なかなかシュートが撃てません。それでもジェフのミスにつけ込んだり、個人技で何度かチャンスを作っていました。ジェフも少ないながら決定的な場面があり、得点チャンスはほぼ互角でした。

互いに守備の意識が強く、無得点のまま、前後半を終えました。こうなると、普段鍛えているジェフが有利となります。延長では脚を攣る選手が続出しましたが、ピッチに倒れこんでしまう選手はガンバ側に多く見られ、これは勝てるかな、との期待を抱かせました。しかし、最後までゴールマウスを割ることはできませんでした。

PK戦ではいきなり山場が来ました。立石が、遠藤のシュートを止めました。遠藤の動きを読みきった見事なプレーでした。事前に相手のことを研究していたそうです。
それにしても今年の立石には頭が下がります。ジェフ生え抜きとしてずっと控えに甘んじながら、出番がくると見事にチームに貢献します。去年のファン感謝デーで、中西などが去って最年長になったことを話題にすると、勝負の年だから頑張ると言っていました。正直あまり真剣に受け止めなかったのですが、今年のプレー振りを見ると、謝らなければなりません。ただ、言い訳すると、私はジェフの最大の弱点はGKだ、櫛野より立石の方が良いと言い続けてきました。しかし、正GKは変えにくいものなので、歴代の監督も手を付けないだろうと思っていました。

120分間戦い互角、PK戦で1本の差なのに、チャンピオンが決まりました。ほんの僅かな差でした。しかし、ジェフはこの僅かな差をいつも埋めきれず、敗退し続けました。オシムの言う勝者のメンタリティを備えていなかったのです。今回の初タイトル獲得は、タイトル自体の重要性よりは、僅かな差という厚い壁を打ち破ったという点に価値があります。この日ピッチ上で精一杯頑張った選手たちは、今後自信をもって試合に臨むことでしょう。強豪チームになる第1歩になるものと信じています。