2009/01/06 シュワーボ、オスタニ!とは言わない

イヴィッツァ・オシム元監督が6年間の日本生活を終えて、母国に、と言っても生まれ故郷ボスニア・ヘルツェゴビナではなく今国籍のあるオーストリアに帰り着きました。

日本での業績については語りつくせないものがあります。何より感謝したいのは、体を壊してまで日本サッカーを強くするために全力を尽くし、離日する直前まで、日本代表のことを、またジェフのことを心配し、その思いを義務感のごとく語り伝えようとしていた姿です。カネにまみれた最近の世界のサッカー界にあって、文字通り命を掛けてまで、よその国のことをこれほど心配してくれたサッカー関係者がいたことは稀有なことです。日本サッカー界の大恩人です。

2003年来日し、その経歴、韓国でのキャンプの指導振りや記者会見での語り口を聞いて、この人はただ者ではない、真のサッカーコーチが日本に来たのだと強く感じました。同時に単なるサッカーコーチではなく、哲学者であり教育者だとの印象も持ちました。私は、その印象を周りのサッカー好きに公言していました。本当は、これまで日本に来た外国人コーチの中で最高のコーチだと言いたかったのですが、さすがにベンゲルなどの顔が浮かび法螺を吹いていると思われるのがいやで、「5本の指に入る」程度のことしか言えませんでした。全てが終わった今なら言えます、「日本サッカー史上最高のコーチだ」と。

今後は体をいたわりつつ、いつまでも好きなサッカーを楽しんでいただくよう祈っています。ジェフ関係者は、優勝争いをするようになったら、フクアリに招待するとの申し入れをしたようですが、オシムは恐らく日本の土を二度と踏むことはなく、自宅で静かに応援してくれる、そんな風に思われてなりません。