大分の危機、Jリーグの危機

Jリーグは、公式試合安定開催基金から大分に計6億円融資することを決めた、と報じられています。大分の財務状態は累損11億円、債務超過5.6億円と伝えられ、どの程度の売上・利益規模の企業か知りませんが、普通の企業なら存続できないほどの危機的状況です。こうした状況を招いた原因は、身の程を考えず、勝敗の結果だけを追い求め監督や選手の補強にカネをつぎ込んだ経営姿勢にあり、自業自得です。本来なら市場から退場してもらわねばなりませんが、サッカーは相手があって成り立つ商売なので、今回の融資は、みんなで助けようとして行われるものです。

華やかなJリーグの試合の裏で、経営危機にあるJのクラブは大分だけではないようです。というより、ごく一部を除きほとんどのクラブが経済的に自立できていません。Jリーグ以下のカテゴリーでは言うまでもありません。はっきり言って、今のビジネスモデルではJリーグは企業として成り立たっていないのが現実です。Jリーグの理念として野球のように特定の企業に依存せず、地域密着で経営を行うとしていますが、理念倒れとなっています。サッカーの試合の特質として毎日興業するわけにいかず、1試合の入場者数も限られます。入場料収入だけではクラブを維持できません。不足分をTV放映料収入、関連グッズの売上、広告料収入(親会社やその影響力でむりやり取り込んだ広告を除く)でカバーできれば、理念は達成できるのでしょうが、現実はそこまでいっていません。結局、Jリーグが嫌った親会社企業の支援に依存しています。支援しようという企業のサイドに立てば、広告宣伝効果の薄い中で、地域貢献・スポーツ振興といった高邁な意識がない限り、おいそれとカネをつぎ込むことは株主の厳しい目もあり難しい状況です。

問題は、夢を追いかけ続けていて、日本でサッカーリーグが存続しうるかということです。企業のカネがなければ選手に高い報酬を払うこともできません。野球との差は開くばかりです。小さい子供たちはサッカー選手になりたいと思っていても親にすれば、こんな安月給で将来に不安のある職業につかせようとする訳がありません。せっかく起こった若者のサッカー志向の流れもこのままではしぼんでいくのは避けられないでしょう。現実を踏まえ(地域密着と言いながら、地域住民の出資ではなく有力企業を親会社とすることなど)、企業が喜んで支援するシステムへの変更が必要でしょう。スポンサーの業種制限の撤廃、クラブ名に企業名を付けることの解禁など勇断をもって実施すべきではないでしょうか。それとも、自分の応援するチームなら喜んでカネをつぎ込んでくれるサポーターがいくらでも増え続けると、Jリーグのお偉方は考えているのでしょうか。