上出来

W杯オランダ戦は0-1の敗戦でした。1点差に抑えたことはこの後のデンマークとの戦い方に大きく影響します。得失点差の関係でデンマークと引き分ければ1次リーグ突破が可能となりました。

大会前の親善試合と違って日本はオランダに善戦しました。しかし、試合を支配され、勝つチャンスはほとんどなかったといえましょう。せいぜい引き分けとの試合ですが、それでも上々の結果です。デンマークに勝てるチャンスは少ないと思いますが、こんな立場(リーグ2位、引き分けで突破)で最終戦を迎えられるとは大会前には予想できませんでした。

この結果は、岡田が夢を捨て現実を理解したことでもたらされたような気がします。
当初目標ベスト4を掲げてパスを繋ぐ攻撃的サッカーを標榜し、アジア予選はその方向で戦いました。アジアではその戦い方で通用しました。しかし、大会前のオランダを初め強豪とのテストマッチで負け続け、日本の実力をやっと把握した感じです。W杯直前になって守備的に戦うと言い出し、ワントップとして前線の枚数を減らし、阿部をアンカーとして守備陣を強化しました。堅守速攻の体制です。高校サッカーなど弱いチームが強い相手と戦うときの常套手段です。この変更が効果を発揮しました。もともと規律正しく、運動量豊富な選手たちが多く、守備では相手を押さえ込むことに成功したといえます。もう一つの嬉しい誤算はGK川島の成長です。初めて世界で通用するGKを得たとの印象です。
この戦術でひょっとすると、決勝トーナメントに行けるかもしれません。岡田の遠回りによって無駄な時間を過ごしてしまいましたが、やっと実力相応の戦い方を身に着けました。岡田はやっぱり現実主義者だったわけで、不幸中の幸いでした。

今大会はこの戦術でやり遂げても、このままでは日本サッカーが世界と互角に戦うことはできません。今のサッカーでは自ら仕掛けて点を獲ることができません。攻撃面をどう作り上げるか、やはり世界的な指導者を迎え、長期的ビジョンのもとで新たな方向に向かう必要がありそうです。